こんにちは。
今回は「投資」について考えてみたいと思います。
物価上昇に対して弱い「貯金」
「貯金」をはじめて少しお金が貯まってくると、こんなことを考えたりしませんか?
・ 「貯金したお金で旅行に行こうと、頑張って貯金をしてきたのに、貯金をしている間に旅行先の宿泊施設が値上がりしていて、当初思っていた以上に旅行予算が必要になった。」
・ 「銀行に預けたお金に利息がついたけれど、利息が少なくて、ATMからの引き出し手数料にもならない。」
デフレで物価や金利が上がらない環境では、今年1万円のものが、来年まで待つと物価が下がって1万円以下の値段で購入できる状態です。
こうしたデフレの環境では、たとえ利息金利が低くても「貯金」をしていると、時間とともにモノやサービスの値段が下がって、購入できるモノやサービスが増えるということになります。
しかし、物価や金利が上がるインフレの環境では、今年1万円のものが、来年まで待っていると価格が上がって同じ1万円では買えなくなってしまったり、購入できる量が減ってしまうという事になってしまします。
仮に2%の物価上昇(インフレ率2%)の状態になった場合に、銀行などの預金金利が2%以上付けば、商品を購入する力を維持できますが、銀行の預金金利が2%以下の場合には購入できる力が減ってしまうことになります。
例えば、2%の物価上昇で銀行の預金金利が同じ2%の場合を考えてみましょう。
・商品価格:(今年)10,000円 → (来年)10,200円 ※1年で2%の物価上昇
・銀行預金:(今年)10,000円 → (来年)10,000円+利息200円(金利2%)-税金20%(200円×20%=40円)=10,160円 ※利息には税金が20%発生して200円×20%=40円が引かれます。
こうなると、物価上昇のペースを表すインフレ率を上回る金利で預金できない限りは、税金を引かれたあとの購買力が維持できないということになります。
もちろん、これでも貯金箱やタンス預金として自宅に眠らせたままにしておくよりは、税金が引かれたあとの利息が支払われるだけ、購買力の減り方を緩やかにすることができます。
インフレの環境で資産を守るには「投資」も選択肢に
そうした中、お金を増やすというケースはもちろん、購買力を守るというケースでも出てくるのが「投資」という選択肢です。
投資というと、危険なイメージがあるかもしれませんし、実際に価格の変動が激しく動くものもあります。
なんだかわからないけれど、手持ちのお金を増やしたい or 購買力を減らしたくない から、銀行預金にあるお金を「投資」に移さなければと考えるのはとても危険です。
「投資」を始める際にはどんなものに投資をしていて、最も良い投資結果、最も悪い投資結果の両方を想定したうえで、自分自身が納得できるものだけに投資をしていただきたいと思います。
間違っても銀行や証券会社から勧められて、よく理解できないままにまとまった金額を投資するようなことは避けた方が良いと思います。
今回の記事では、「投資」に興味を持った方が、「投資」を知るためにメリットとデメリットを見ていきたいと思います。
投資のメリット
まずは「投資」のメリットについて考えて見ましょう。
1. お金を増やせる(購買力を守る)
先ほども書いた通り、物価が上がると、現金の価値は下がってしまいます。インフレ(物価上昇)のある中では、資産価値を守るためには「投資」が有効な選択肢になります。
ただし、投資の中には値上がり値下がりの値動きが激しいものから、あまり上がらないけれどあまり下がらないという値動きがマイルドなものまで、無数に投資商品があります。
大きな値上がりをもたらす商品は、それに応じた価格変動の大きな商品となり、よくわからないまま投資をすると危険な場合もありますので注意が必要です。
欲張ってお金を増やすということまでは考えないけれど、今の購買力を少しでも減らさない投資を考えたいという方は、日本の国債を対象とした「個人向け国債」「物価連動国債」などで調べて見てください。「投資信託」などの形で、少額から始められるものもあります。
こうした日本の国債を投資対象とする商品は、タンス預金や銀行預金などと比べると、物価上昇に強い商品が見つかるのではないかと思われます。しかし物価上昇分すべてを補うとなると、「国債」だけでは難しいかもしれません。
2. 将来のお金に備えられる!
前で書いた、購買力を守るということでは、老後の資金や子供の教育費など、将来必要なお金を準備し、購買力を減らさないために「投資」が有効な選択肢になります。
例えば毎年2%ずつ物価が上がって行く中、現金でお金をためていた場合には、毎年2%ずつ購買力が減ってしまいます。単純に単利計算をしても10年間で20%、30年間で60%の購買力が失われてしまいます。(実際は「複利効果」で更に減少幅が大きくなります。)
反対に、自分自身がよく仕組みを理解できて、毎年の物価上昇率を2%ずつ上回る投資対象に投資することができた場合には単純に単利計算をしても10年間で20%、30年間で60%の購買力を増やすことができます。(実際は「複利効果」で更に増加幅が大きくなりますが、値上がり利益部分には税金が発生します。)
3. 投資を通じて社会や経済を学べる
「投資」は自分自身のお金を、外に貸したり、事業の元手として使ってもらうことで、利息や収益の一部を受け取る行動です。
たとえば先ほど例にあげた「国債」の場合、日本国にお金を貸して、その利息を受取るという商品になります。
株式ですと、株主がお金を出した出資金を元手に、人を雇ったり、工場を立てたり、お店を開いたりという過程を経て、売上から利益が生まれた場合にその利益の一部から分配を受け取るという商品になります。
いずれも長い期間で自分のお金を貸したり、お金を活用してもらったりした見返りとして、投資利益を受け取る形になります。
「宝くじ」とか、「競馬」をはじめとしたギャンブル(「投機」とも言います)のようなものとは性格が異なり、「投資」する対象とは長い付き合いになる可能性が高いことから、よく調べてから投資をすることが望ましいです。
この投資対象についてよく調べるという過程で、ニュースに注目したり、世の中の動きについて調べたりと、知識や経験が身につくという効果も期待できます。
経済や社会の成長に貢献できる
株式などに投資をする場合、自分の好きな商品やサービスを提供する企業に投資をしたり、世の中を良くする商品を提供している企業に投資をすることで、そうした企業を応援するという効果も期待できます。
そうした応援してくれる株主が多くいる企業は、経営方針をコロコロと変更することなく安心して経営を続けられます。
世の中を良くする活動を行うビジネスが、出資を受けやすくなれば、新しい会社も起業しやすくなり、すこしずつそうした企業の数が増えて、経済や社会の成長につながっていきます。
収益を手にしたいという「投資」だけでなく、自分の望む世の中を実現したいという観点から行う「応援投資」(または寄付)という姿があります。
投資のデメリット
次に、「投資」のデメリットについても考えてみましょう。
1. お金が減ってしまう可能性がある
「投資」を行えば必ず儲かるというものではなく、損失が出てしまう場合も少なくありません。
たとえば株式に投資をして、投資をした翌日にその企業の株価を確認してみたら、株価が下がってしまっているということは日常茶飯事です。
比較的に安全そうな国債であっても、日々の取引の中で値段が決まります。短い期間では損失が発生することがありますが、決められた年限の最後(償還日)まで持っていれば、額面金額と利息分が戻ってきます。
2. 手数料がかかる
投資商品を購入したり売却する際には、証券会社や銀行などに支払う手数料が発生する場合があります。
手数料については、投資商品ごとにことなります。また証券会社や銀行など、どこの金融機関から購入・売却するかで手数料が異なる場合があります。
ほとんどの場合、手数料については投資で儲かった場合だけでなく、損失が出た場合にも発生します。
また、手数料ではありませんが、投資により利益が出た場合には、税金が発生します。
投資を行って利益が出ていても、これらの手数料や税金などで思っていたほど手元には残らなかったということもありますので、投資を始める前に、手数料や税金については、よく確認をしてから始めてください。
知識や経験が必要になる
ここまで繰り返し述べてきましたが、投資を行う際には、よくわからないものには手を付けないようにしましょう。
投資する商品の内容を理解した後も、一度に全額投資するのではなく、タイミングを何回かに分けて、投資することが望ましいです。
こうして知識を身につけて、経験の経験を重ねることで、騙されてしまったり、自分にあっていない商品を購入させられてしまうことが少なくなります。
「投資」を始めてみようと思ったら
投資を始めてみようと思ったら、次のことから始めてください。
自分の中で目標を決める
まずは、なぜ投資をするのかという理由と、具体的な目標を決めましょう。
例えば、「老後の生活資金を準備したい」「子どもの学費を準備したい」「マイホームを購入するため」などの理由と、それぞれいくらぐらいの金額を目指したいのかという目標を明確にすることで、投資に対してモチベーションを維持しやすくなります。
さらに具体的な目標金額をもつことで、それに応じた投資商品選びや、投資の方法が決めやすくなります。
自分のリスク許容度を知る
投資では値上がりすることがある反面、値下がりすることも起こります。
そして一般的には、不確実性が高い投資商品ほど、値上がりや値下がりの幅も大きなものとなり、儲かる時には大きく儲かる反面、損失も大きくなりやすいという特徴があります。
国債のように満期まで持っていれば、ほぼ間違いなく約束された金額が戻されるという不確実性が低い投資商品については、一般的に損失の可能性が少ない代わりに、儲けが出る場合の金額も少なくなります。
大きな金額を目指そうとすると、不確実性が高い商品が選択肢に上がってきますが、比例して損失が出る可能性も高まることから、投資に回すお金は、自分が失っても耐えられる金額の幅で行うことが大切です。
手っ取り早く儲けが出る、不確実性の高い商品にまとまった金額を一度に投資するというようなことが内容に、慎重に考えて投資を始めてください。
投資はよく理解して納得できるものだけに
投資についてメリットとデメリットを見てきましたが、投資をするときには必ず自分自身が理解できて納得できるものだけに投資してください。
なんだかよくわからない。ちょっとわかる気がするけど…。このようなものに投資を行うと、必要以上の費用を払ってしまったり、損失が出てしまった時にどのように対処してよいかわからなくなってしまったり、詐欺のような手口に騙されてしまう危険性もあります。
投資を行うときには、自分自身でよく理解できるものだけに、自分自身の判断で、利益が出た場合・損失が出てしまった場合のどちらにも対応できる「出口」を想定してから投資を始めてください。
登山家が山に入る前に、念入りに情報を集めて登山ルートと下山ルートを決め、持ち物も念入りに準備します。さらに天候などにも気を配って、地図とコンパスやGPSを持って万全の準備を行います。
その上で事前に考えられる最悪のケースに備えたうえで山頂に挑戦することになりますが、投資についても同様の慎重さと配慮を行うことが、あなた自身とあなたの資産を守ることにつながります。
この記事のまとめ
「投資」は自分自身のお金をインフレから守ってくれたり、まとまった資産を作るためにはなくては困る大切な手段です。
その一方、お客が必要としていない商品を売りつけて手数料を稼ぐ金融機関があったり、そもそも投資詐欺のような存在自体が怪しい投資商品だったりと、あなたの資産形成には役立たない金融商品もたくさんあります。
まずは投資対象を知ることから初めて、あなたの資産形成にあった商品を見つけることから始めてみましょう。
どんな商品を選べばよくわからないときには、金融商品を販売している窓口などで聞くのではなく、保険や投資商品の販売をしていないファイナンシャルプランナーなどに相談してみることも有効です。