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去年と比べて「現在の生活」は向上した?低下した? ~内閣府の「国民生活に関する世論調査」より~

 先日、内閣府から「国民生活に関する世論調査」という調査の結果が発表されていました。

 「将来、どんな人生を送りたいか」についてのそれぞれが自分のライフデザインを考える時に、他のみなさんが、どの様な意識を持っているのかを知るうえでも興味深い調査でしたので、今回の記事で紹介させていただくことにしました。

目次

内閣府の「国民生活に関する世論調査」について


 この調査は、内閣府が行政を進めるうえでの資料とするために実施したもので、現在の生活や今後の生活についての意識、家族・家庭についての意識など、国民の生活に関する意識や要望などを調べています。

 調査期間は令和5年11 月9日 ~ 12 月17 日。

 調査項目は、次の4つです。
1 現在の生活について
2 今後の生活について
3 生き方、考え方について
4 政府に対する要望について

 調査対象は全国の18歳以上の日本国籍を有する者 5,000 人を対象として、3,076 人から回答を得たものです。

「現在の生活について」

 この調査では、まず初めに現在の生活についての意識を調査しています。

「問1. あなたのご家庭の生活は、去年の今頃と比べてどうでしょうか。」

この設問では令和4年10月時点の調査と、今回の令和5年11月時点とで意識の変化を調査しています。
回答者全体で見た場合の結果は次のとおりでした。

令和4年10月令和5年11月変化
「向上している」4.7%5.4%+0.7ポイント
「同じようなもの」62.4%58.3%-4.1ポイント
「低下している」32.6%35.9%+3.3ポイント
「国民生活に関する世論調査」(内閣府)令和5年11 月9日 ~ 12 月17 日

 「向上している」と回答した方が0.7ポイント増えた一方、「低下している」と回答した方が3.3ポイントの増加となりました。
 全体としては生活が「低下している」という回答がじわっと増加しているようです。

属性による回答結果の違い

 回答結果に男女差はあまり出ていないようですが、年齢別に見てみると、回答者の年齢が高くなるほど、生活が「低下している」と回答した方が増えました。

高齢になるほど生活向上の実感が無い?

 期間中に幅広い品目で物価が上昇した反面、年金支給額は増えず、年金受給世代で生活が低下したと感じた方が増えているようにも見えます
 また、18歳~59歳の世代(主に現役世代)の中で見ても、回答者の年齢が高くなるほど、生活が低下していると感じる人が増えているのは、なぜでしょう?

 「18歳~29歳」の回答と、「50~59歳」の回答を比較して見ると、去年よりも「向上している」と感じた方が、「18歳~29歳」では12.8%いたのに対して、定年退職目前の「50~59歳」の世代の回答では、4.8%になっています。
 去年よりも「低下している」と感じた方を見てみると、同じく「18歳~29歳」では25.2%いたのに対して、定年退職目前の「50~59歳」の世代の回答では、36.1%になっています。

 設問では「生活の向上感」として問うていることから、物価上昇を含む「お金」に関するもののほかにも、「健康状態」「家族や友人との人間関係」など、様々な要因を反映した結果になっているものと思われます。

若年層を中心とした企業の待遇変化

 さらに、直近の日本では少子高齢化が進んで、元気に現役で働くことができる生産年齢人口の減少が続いていることから、大手企業を中心に賃上げや、非正規雇用の従業員を正規従業員として雇用する待遇の見直しが進みましたが、全体的に見ると待遇改善は若い世代が中心となり、定年に近づくにつれその待遇改善の恩恵が薄まっていたのかもしれません。

 定年の年齢が近づく団塊ジュニア世代の従業員を多くか抱えている企業側の視点で考えてみても、定年が間近に迫って、若い世代に比べて転職や離職のリスクが少ないところに厚く遇するよりも、少子化で人口が減少し、離職や転職に前向きな人々が多い若い世代の労働力を確保するために待遇改善の原資を集めたほうが、結果として効率的な人員確保ができるという側面があったのかもしれません。

もちろん、社会の中で若い世代が優遇されているのかといえば、そうした側面は部分的なもので、現在の公的年金制度や、企業内に根強く残る年功序列、生産年齢人口の減少が進む中、輸入物価の上昇や通貨安など、若い世代を取り巻く環境は厳しさを増している部分も少なくありません。

「ロスジェネ世代(就職氷河期世代)」は企業の待遇改善の恩恵が薄かった?

 私自身は50歳前後の世代に属していますが、この世代は「ロスジェネ世代(就職氷河期世代)」とも呼ばれて日本経済のバブルが弾けた不景気の中で就職活動を行い、買い手市場の労働市場の中で、初任給は低いまま社会人になりました。
 入社後もベースアップなどの幅は薄く、年功序列の処遇で、(高齢になってから給与が上がることを目にしながら)若いうちは給与が低く抑えられて来ましたが、年次を重ねても給与水準は上がらずに来ました。
 主にバブル景気にわいた時代に、結婚や子育てを行う年齢を過ごしたロスジェネ世代の両親と比べると、ロスジェネ世代は所得などの事情により、結婚や出産に不安を覚えてしまい、既婚率や出生率も低くなっているという見方もあるようですが、ここまでのところ、ロスジェネ世代の私たちは報われづらい世代だったのかもしれません。

この記事のまとめ

 今回取り上げたのは、調査結果のごく一部ですが、ライフデザイン(人生設計)の視点で見ると、世代間での違いは興味深い部分がありました。

ロスジェネ世代と呼ばれる私たちも、物価上昇が進む中で社会人デビューを迎える現在の若い世代も、どちらも将来の変化にリスクを抱えながら人生を選択していかなければなりません。


 日々、社会の変化が進む中、世代によってもライフデザインの考え方も異なりそうです。


 今回ご紹介した「国民生活に関する世論調査」については、他にも興味深い内容がありましたので、また別の機会に記事にしてみたいと思います。

参照

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この記事を書いた人

このブログの主、SORAです。
50歳手前のサラリーマン。
妻とともに関東の近郊都市に暮らしています。

団塊ジュニア世代として生まれ育ち、日本経済のバブルが弾けた後の「就職氷河期」に社会に出ました。バブル経済崩壊後の長期低迷経済の中で社会人生活を送り、ITバブルの崩壊、リーマン・ショック、コロナ・ショックなどの経済不況をくぐり抜けて、本格的な経済成長をあまり実感することなく生活をしてきました。

社会人となって以降、日本経済の不況期を渡り歩くサラリーマン生活を続けてきましたが、50歳目前になって自分自身の将来を見渡してみると、定年の年齢が近づきつつあり「老後」の人生を意識する年齢にもなってきました。

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